活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

僕たちのジャンプが帰ってきた

堀越耕平
【おすすめ度】
★★★★★


【あらすじ/概要】
誰もが「能力」を持った世界。特に優秀な能力を持った人間はヒーローとして活躍している。その一方で、敵(ヴィラン)として悪事を働くものも。
そんな世界で、まったく能力を持たない中学生・緑谷出久(いずく)。幼なじみの爆豪(一級の能力を持つ)に「デク」とバカにされながらも、ヒーローになる夢を諦めていなかった。ヒーローになるための高校・雄英高校のヒーロー科を目指していた。
そんなある日、伝説のヒーロー・オールマイトと出会い、彼の運命が大きく変わる。


【書評】
「私が来た!」
久しぶりにジャンプらしい作品が来た。まさに「努力・友情・勝利」を体現する作品だ。
無能力の少年・出久が伝説のヒーロー・オールマイトと出会うことで、ヒーローになるチャンスを得る。だが、それは無条件に与えられるものではない。彼が誰よりも努力することで使いこなせる能力だ。
この物語は弱虫な少年が少しずつ成長し、ヒーローになる物語だ。序盤で片鱗を魅せるものの、出久は決して強い少年ではない。むしろ、爆豪に恫喝され、びびってしまうような少年だ。それでも彼はヒーローになるためにひたむきな努力をする。


かつて少年だった、そして今、少年の男の子にはたまらない作品だろう。
何が面白いかって、『ドラゴンボール』や『ワンピース』に心躍らせたように、本作は紛れもない冒険譚だからだ。しかも、その主人公は私たちのような普通の人間。これで面白くないわけがない。
しかも、オールマイトだけが劇画調。アメコミ好きにはたまらない演出だ。さらに、オールマイトの言動は少年達があこがれるヒーロー像そのまま。『ワンパンマン』のサイタマが邪道ヒーローなら、本作のオールマイトは王道ヒーローと言えるだろう。


本作はぜひとも2巻まで読んでほしい。
1巻だけでは、この興奮は共有できない。2巻の敵(ヴィラン)連合が襲ってきてから、巻末ラストシーンまで考え抜かれた構成・演出に仕上がっている。2巻を読み終わったあなたは「あーっ! 3巻はまだか」ということ間違いない。


【参考・類似書籍】
この作品も嫌いではないが、著者がこんなに化けるとは。