活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

一年の計は元旦にあり、ビジネスの計は戦略にあり

鈴木博毅『戦略の教室』
【おすすめ度】
★★★☆☆


【あらすじ/概要】
ビジネスに役立つ「戦略」を古代から紹介していく本書。10章あるうちの序盤2章は戦争における戦略、残り8章は経営・ビジネスに必要な戦略です。
ですが、すべてに通底しているのは「いかに生き残り、勝ち抜くか」ということ。日本は「失われた20年」を経験し、混迷した経済からの出口を模索し続けています。そこで重要になるのが戦略です。


松下幸之助ビル・ゲイツなど名だたる経営者は『孫子』を愛読していたと言われます。それくらい、経営において戦略は重要な位置を占めています。戦略を知る入門書として、本書は絶好といえるでしょう。


【書評】
かつて日本では、企業組織と軍隊組織は非常に似ており、かつての大日本帝国軍の組織を模倣して戦後の企業組織が組み立てられたと言われるほどです。強固な官僚体制が高度経済成長を支えた一方で、その官僚体制が「失われた20年」を抜け出せない原因とも言われています。


ただ、すべてが悪かったと言えば、一概には言えません。常に問題は運用にあります。だからこそ、もう一度、戦略を見直し、戦略をどう運用し、戦術・戦闘に落とし込むかが重要なのです。
本書は戦略をもう一度見直し、混迷した日本で生き抜くかに言及しています。そのキーワードが「歴史」と「戦略」だと、著者は明言しています。


「敵を知り己を知れば、百戦危うからず」と言ったのは孫子です。戦略はこの一言に集約していると言っても過言ではありません。あらゆる戦略は「自分の立ち位置」を理解し、「的との差別化」をはかって敵の弱いところをつくことがほとんどです。そうでなければイノベーションを起こし、次元の違う戦いをするかのどちらかです。


ここで言う戦略はほぼマーケティングと同義です。世の企業がマーケティングが重要と語っているのは戦略のことです。マーケティングというと難しく聞こえますが、行動の最終目標をどこに置くのか、そのための道筋をどう進むのかがマーケティングです。大なり小なり、ビジネスパーソンは誰もがやっていることではないでしょうか。


だからこそ、戦略は誰にも重要で、誰にも役立つものなのです。ぜひとも本書を第一歩に、戦略の世界に足を踏み込んでみませんか。


【参考・類似書籍】