活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

何事も戦略は大事ですね


倉山満・松原好之『偏差値40の受験生が3か月で一流大学に合格する本』

【おすすめ度】
★★★☆☆


【あらすじ/概要】
これまでの塾・予備校や勉強の仕方を戦略なしと切り捨て、
大戦略」−「戦略」−「作戦術」−「戦術」という段階に受験勉強を直しています。
その中で「大戦略」「戦略」が足りないために合格しなかった受験生が大勢いると喝破。
受験を俯瞰し、そこから細部へと落とし込む内容です。


合わせて今の大学は本当の意味でのユニバーシティではなく、
単なる就職予備校に成り下がっていると説明し、
だからこそ、学歴を手に入れるために戦略が重要であると説いています。


戦略次第でGMARCH、阪大以下を合格することは可能で、
受験科目の選択から勉強の仕方まで細部にわたって解説。
何をどうしてよいのか分からなかった受験生にとって、
まさに福音と言えるでしょう。


【書評】
かつて受験産業に籍を置いていた人間から言わせていただければ、
言っていることの2/3は合っています。
では、何が間違っているのか。
正確に言えば間違っているのではなく、曖昧にしていると言った方がいいでしょう。
それは「本書はどれくらいのレベルの受験生に向けているのか」です。


本書は高校偏差値50〜60の(似非)進学校にいる、
勉強の仕方がよく分かっていない運動部出身者だと考えています。
しかも、現役とは言及せず、一浪を視野に入れているものだと思われます。
ここを曖昧にすると、実は高校偏差値50未満の
箸にも棒にもかからない生徒達も同じようなやり方で
有名大学に行けると思われるので要注意です。
(本書に限らず、多くの受験勉強の仕方はそうですが。)


そのうえで、本書の視点は非常に面白いです。
多少左翼的発言や過激発言、「中央大を持ち上げすぎじゃない?」と思うところはあるものの、
本書の内容は受験生に非常に役立ちます。
例えば「大学は就職のためと割り切る」
「受験には「正解」があるからこそ易しい」
「受験業界の実態」「こんな教師はダメだ」あたりは
他がほとんど言わない部分なので、受験生も参考になるはずです。


確かに受験には正解があり、それは出題者の意図です。
しかも、その意図は(有名大においては)おおむね大学の建学の精神と大学教授で理解できます。
この2つによって受験科目の配点、出題範囲、レベルなどが決まります。
受験を征するために戦略は必要不可欠です。
大学受験の入門書として、ぜひともおすすめする一冊です。


【参考・類似書籍】