活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

君は、強さの意味を知っているか

ようやくHDプレイヤーに溜まっていた録画をほとんど見終わった。
一番古かったのが2月で約2ヶ月間見られていなかったことに驚き。
まあ、死ぬほど忙しかったので無理もなし、か。
そんな生活ともおさらばですが(笑)。


ようやく見終わった『キルラキル』。
賛否両論はあるものの、個人的には面白かった。
中身がないと言われれば、それまでだが、その中身がないことが作品の面白さの一つではないか。
ただ、ここで主張したいのは満艦飾マコの存在だ。
一見すると単なる脇役だが(かなりインパクトの強い脇役だが)、実は彼女の存在こそ作品において重要なファクターといえる。


確かにシリアスストーリーに一切絡んでこない。
だが、ギャグパートで存在感を強めながら、彼女の言動が主人公の纏流子を変えていく。
それどころか、主役級の四天王にさえ影響を与えている。
しかし、彼女自身は何の力もない。
極制服を着た瞬間は強くなったが、それも2回だけ。
ほとんどは弱い存在のままだ。


それでも本作では彼女の強さが描かれている。
空気を読めない天然さではなく、我を通すまっすぐさだ。
猪突猛進に自分の思いをぶつける姿が、流子を変えていく。


そう、本作は満艦飾マコを抜きには語れないのだ。
守られるヒロインになりかえない立ち位置にいながら、けっして守られる存在ではない。
むしろ、時として流子をヒロインにしてしまうパワーさえ持っている。


今までこのような作品はなかったのではないか。
寡聞にして例を知らないが、多くの物語は主人公(ないしは敵役)が強く、脇役の存在なしでも成立する物語だ。
だが、本作は満艦飾マコがいなければ成立しない物語だ。
しかし、満艦飾は「腕力」を持っているわけではない。
ステゴロ上等の世界で、唯一「腕力」ではない部分で渡り合っていた。
鬼龍院皐月のいう「意志の強さ」を図らずも体現している存在といえる。
彼女に触れ続けていたことで流子の心も強くなっていく。
流子が道を外れそうになるたびに、マコが止めに入っている。


そういう存在を描いた作品という点で、本作は評価に値する。
主人公とは違う階層で対等になれる存在を描いたことは、今後の作品において重要な転換点だ。
あれだけ荒唐無稽だからできるのかは分からないが、今期の(深夜)アニメではもっとも評価が高い作品としたい。