- 作者: 千田嘉博
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2013/01/23
- メディア: 新書
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織豊系城郭といわれるとおり、近世に連なる城は織田信長の城をモデルにしているのは周知の事実。
ただ、そこに信長の政治思想を見いだすのは、千田先生ならではといえる。
それまでの城郭は城主、家臣が並列関係に構築されているのに対し、織豊系城郭(今回は信長の城)は上下関係に位置づけられるよう構築されている。
それは今までの家臣の独自性を否定し、垂直な支配体制を確立したい信長の思想であると、千田先生は明言している。
小牧山城、岐阜城、安土城と構造の変遷をたどりながら説明している。
なるほど。千田先生の論に対する検証はなされなければなりませんが、確かにそれまでの城郭との比較で濃厚な可能性を示しています。
本書でもっとも重要なことは言葉の再定義でしょう。
漫然と「織豊系城郭」というタームを使用してきたが、定義としては曖昧だった。それを垂直な支配体制思想を含んだ城郭設計こそが「織豊系城郭」の肝である、と定義した意義は大きい。
いやぁ、やはり歴史は面白い。