活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

その奥にあるもの

20歳の自分に受けさせたい文章講義 (星海社新書)

20歳の自分に受けさせたい文章講義 (星海社新書)

文章を書くことは「翻訳」とした、著者の感覚に脱帽。
私たちがやりがちな「文章を作る行為」は失敗する方法で、そうではなく頭の中の「ぐるぐる」とした気持ちをどう翻訳するかが大切だと説いている。
なるほど、確かに書きたいものは頭の中にあるわけだから、それをどう取り出すかが肝心だ。


そこで重要となることを3つ挙げている。
一つは言葉を尽くすこと。自分の頭の中を説明するのに、説明しても説明し尽くせない。だからこそ、言葉を尽くさない限り、相手は理解しない。
一つは文章のリズムを作り出すこと。文章の構成である主張・理由・根拠もそうであるし、つまりは論理構成がどうなっているか、それが文章のリズムである。
そして、読者の「椅子」に座ること。どんなに素晴らしい文章も相手の立場に立たなければならない。


至極真っ当な意見だ。
しかし、私たちが意識していないことでもあるだろう。


世界史をつくった海賊 (ちくま新書)

世界史をつくった海賊 (ちくま新書)

イギリスが一流国の仲間入りしたのは、「海賊」を使った国家戦略のおかげ、というのが本書の主張だ。
それまでヨーロッパの片隅の二流国だったイギリスが、海賊を使って強豪国のスペインから富を奪うことで成長してきたことを明らかにしている。
確かに、世界史で「私掠船」と習ったが、なぜこれが重要なのか、まったく分からなかった。


しかし、本書でこれが国家戦略であることが分かり、重要であることを得心。
むしろ、この国家戦略がなければ、イギリスはその後の栄光を得ることができなかっただろう。

なるほど、なるほど。
世界史は奥が深い。