活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

悪くはないんだけど、良いんだけど


*ネタバレはありませんが、ネタが推測できる文言が何度か出てきます。ご注意ください。


消失グラデーション

消失グラデーション

これはやられました。
なるほど、こういう手で来るのか、という展開でした。
叙述トリックの典型的なスタイルですが、人は先入観を持つと、なかなか見抜けないものです。


被害者の女性もレズビアンと思っていたのですが……。


作中のトリック自体はそんなに奇抜なものではなく、むしろ、それでいいの、というものでした。
キャラはなかなか作り込まれていて、面白かったのですが、最後、全部ヒカル君にもっていかれましたね。


このまま、シリーズ化してしまいそうな勢いですが、そのつもりなんでしょうか。


面白そうだけど、微妙そうだな、と思いながら、買うのをためらっていたのですが。


……その通りでした。


発想やストーリーは面白かったですね。
多分、それ自体は普通の大衆小説と遜色がないくらい。


ただ、いかんせん密度が薄い。
ライトノベル出身の作家に見られる現象ですが、発想やネタは面白くても、それを支える文章密度が薄いために、軽い味になってしまうことです。
今回もまさにそう。
登場人物の書き込みも薄いし、ストーリーに対する書き込みも薄い。
全体的に薄味になってしまっています。


せっかく、面白いネタなのだから、もっと描き方を考えれば、もっと面白いものになるんですが。


あと関係ないですが、話自体が『落穂拾ひ・聖アンゼルセン』じゃないですか。
そんなうまい具合に、美人で巨乳の、引っ込み思案な文学少女はいませんって(ツッコミ)。