活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

芸の道で生きるからこそ必要なこと

で、前回とは逆みたいなことを言いますが、「自分探し」「自分らしく」「夢を追いかけろ」とかって、実は嘘ですよね。
確かに、夢や目標は大事だけど、だいたいマスコミ的な「夢探し」って、持てるものが持たざるものを搾取するための詭弁のような気がします。


夢って言ったときに、たいていの場合、スポーツ選手だの、アイドルだの、作家・漫画家だの、華やかな特殊業のことを指します。
モーニング娘。以降AKB48を含め、アイドルだの歌手だのを気軽に考える人がいます。
それになることが「夢」であるかのように。


しかし、現実はそう甘くはありません。
成功するのはほんの一握り、ほとんどは知られることなく消えていきます。
AKB48も激しい入れ替え戦で、上位以外は相当な入れ替えがあると聞きます。現実、もとAKB48のAV女優まで出る始末。
そこまでしないと、芸能界という領域には残れないわけです(AVが芸能界はさておき)。


同じように声優を目指す人も多いのではないでしょうか。
しかし、TVアニメを見ていると、人気声優でも、ほとんどが5年前後で入れ替わっているように思えます。
片手で数えるくらいではないでしょうか。でも、毎年声優になりたい人間はいったいどれほどいるでしょうか。


で、ここで問題なのが、こういう夢追い人達が「学歴なんて」と思っている点です。
もちろん、学歴が直接プラスに作用することはありません。
ですが、芸能界を見渡すと、多くの芸能人が高学歴であることに気づくはずです(特に若い世代)。
現在、高学歴芸能人がもてはやされているからかも知れませんが、ジャニーズでさえ慶応や明治に行く時代になりましたし、大学院卒の俳優も出ています。
つまり、芸能界でさえ学歴は当たり前の時代になったのです。


では、俳優や芸人の養成所の人達は高学歴か?
おそらく答えはNoでしょう。
そのほとんどが高卒か専門卒のはずです。
おそらく芸能界の狭間で消えていくであろう、その人達は学歴には見向きもしていないはずです。
「学歴なんて、いったい何の役に立つの? アタシは夢を追いかけているの」
「大学へ行っている時間が無駄だ。それより、俺はやりたいことをやるぜ」
などと発言しているのではないでしょうか。


なぜかは分かりませんが、そういう人の家庭は低所得層である割合が多いのではないでしょうか。
これは印象論ですが、高所得層は学歴で今の地位にいることを自覚しているので、子どもにも同じ道を歩ませようと学歴を求めます。
しかし、低所得層は学歴のメリットを受けていないため、それよりも「生き甲斐」にシフトする傾向があるように思えます。
今の時代、学歴は高所得層へ入る必要最低限のパスポートです。
それがなければ高所得層に入ることはできません。
低所得層でも高所得層に入れる可能性があったのが芸能界ですが、先述したとおり、芸能界自身も高学歴化が起きています。



本来、役者も歌手も高度な知性と感性が求められます。
そうでなければ、人を感動させることはできません。
知性を学歴に置き換えれば、なぜ学歴が必要なのかお判りでしょう。先日亡くなられた児玉清さんも学習院でした。


それが理解できない人はAKB48のような既製品の枠に乗っかって、賞味期限が切れたら捨てられる運命にあります。
いったい、モーニング娘。AKB48を卒業した中で、どれだけの人間がいまだ芸能界に残っているでしょうか。


学歴があれば安泰というわけではありません。
しかし、高校生の50%が大学へ進学する時代、少なくとも大卒レベルの知性を持っていない人間が、芸能人や作家・漫画家として生き残れるでしょうか。
答えは「否」です。


芸能界にあこがれること自体は否定しません。
ですが、自分が生き残るために何が必要か、それを考える必要があるのではないでしょうか。