活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

歴史でありえないIFを考えてみる

明日は終戦記念日ということで、少しだけ太平洋戦争について考えてみよう。


その前に私自身のスタンスについて語っておきます。
私自身は中道左派を自認しており、右翼的思想より左翼的思想、リベラリズムにシンパシーを感じる人間です。
太平洋戦争についても、日本が悪いのは当たり前だと考えていますし、ましてや自衛のための戦争、アジア解放の戦争などとは思っていません。


ただ、あの戦争はやり方によっては勝てたんじゃないかな、と思うのです。
もちろん、アメリカに勝てるなんて思っていません。戦略的な勝利というべきか、東アジアに権益を保持できたのではないか、と思っているわけです。


そもそも日本はアメリカと戦争しようなんて思っていたわけではなく、資源のために東アジアに進出しました。
その最たるものは満州国です。
もちろん、その権益は当時のソ連や中国、欧米各国と衝突します。直接には中国と戦っていましたが、そのバックには欧米の存在があったわけです。
だから、どこかの段階で戦争をやめて一定の権益を欧州列強から保証させる、というのが当初の日本の戦略だったはずです。


問題は中国との戦いが拠点戦略だったということ、どこで妥協するか考えていなかったことです。
中国との戦争において、日本は圧倒的に有利でした。ただ、日本軍は主要都市を陥落させて終わりだったが問題でした。
そりゃ、春秋戦国時代ならよかったでしょう。しかし、その時代は近代です。農村は十分に拠点になり得るし、ゲリラ戦が有益だと実証済みの状態です。
当然、戦線は伸びに伸びて攻略した地域の経営や補給の問題が出てきます。
古今東西、そうなったらまともに戦争はできた試しがありません。


日本軍はその問題を援蒋ルートにあると考えるわけです。
いつまでも中国が戦えるのは欧米が支援しているからだ、と。
しかも、日本に対しては経済封鎖をかけてくる。こりゃ、にっちもさっちもいかないと。
で、アメリカに宣戦布告するわけですが、もうその時点で将棋で言えば詰みです。


なので、中国攻略をどうするか、が日本の肝だったわけです。
これもどこかで停戦を結べばすんだことを、訳の分からないプライドがあるからできなかったわけです。
それが日本軍の敗因です。


もっと言えば、アメリカとの戦争でも当初の短期決戦ならいけたはずです。
満州に展開していた精鋭部隊を一気に投入し、短期間(長くて1年)で東南アジアを占領。すばやく停戦。講和に持ち込む。
落としどころさえ間違えなければ、権益は守られたはずです。


ここでもだらだら戦っているからアメリカの物量差の前に敗れるわけです。
つまり、何が言いたいかと言えば、指揮する人間の無能さが敗戦を招いた、ということです。
もちろん、山本五十六のような知将もいました。が、そういう人間を生かせませんでした。


戦争すること自体が間違いです。
それは疑いようのない事実です。倫理的にも、戦略的にも、です。
戦争を始めたら、いかに早く決着させるか、これこそが戦争の最も重要な部分でしょう。
それがあったら、日本は戦略的には勝てたはずです。
理由は満州に展開していた精鋭部隊があったこと、技術的にはアメリカをしのぐものがあったこと(ゼロ戦など)、あの戦争の目的が権益の確保だったこと、からです。
特に三番目の権益の確保は、相手を徹底的に滅ぼす必要はありません。
そこを間違えなければ日本は負けることはなかったと考えています。


まあ、負けた方が日本のためだった、とも言えますが。