活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

虎よ、哮よ!

冲方式アニメ&マンガ ストーリー創作塾

冲方式アニメ&マンガ ストーリー創作塾


前作に続き、『冲方式「アニメ&マンガ」ストーリー創作塾』を読破。
ほかと違い、実際に本人が作ったプロット・企画書を用いて説明する点は分かりやすいし、興味をそそります。


しかし、結論を言えば、本書は「創作」を扱ったものではありません。
むしろ、創作する周辺の話をしています。


本書の要点は3点。


「企画」「プレゼン」「調整能力」。


この三つがアニメ、マンガを世に出すために必要な能力だ、ということです。
冲方氏の論旨を考えると、才能が必要なのではなく、作った企画をどう提案し、制作進行のなかでどう調整していくか、それこそが自分の作品を成功させる秘訣だ、ということです。
はっきり言えば、それは「営業」の能力です。
やはり、世の中に求められている能力は「営業」なのでしょうか。


仕事全般において、オンリーワンの仕事(発案)はそうそうありません。
たいていの場合、すでに考えられていて、企画になっていないか、企画して落とされているかのどちらかです。
原因は多種多様で、一概には言えませんが、結果は皆同じです。


氏は本書でずっと「虎」になるための極意を授けていました。
それは独創性を高めろ、ではなく、己の「営業」能力を高めろ、ということです。
それも口先の営業能力ではなく、真の意味での営業能力です。
作品が面白いのは当たり前、ということでしょうか。
しかし、その彼のスタンスは評価できます。
世の中では「文学」としての作品を作り出せ、とのたまうノウハウ本はあれど、それをどう売り込み、他者と作り込んでいけるか、と書いた本はありません。
その点こそが冲方氏の作品が売れる一番の理由ではないでしょうか。