活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

誰が神様か

間違って使われてる?三波春夫さん「お客様は神様です」の真意とは - はてなニュース


お客様は神様か。
「お客様は神様です」と最初にいったのは三波春夫氏です。
彼の真意はさておき、少なからずこの言葉は客側の絶対優位を示す言葉として使われてきました。


「お客様は神様」だから、丁重に扱わなければならない。すべての要求を飲まなければならない。
客側もこの言葉に「自分は絶対なんだ」という根拠のない優越感に浸っています。


でも、やはり、この言葉はおかしいと思うのです。
厳密に言えば商売は対等な契約関係にあります。サービスと金銭が等価で交換されることによって、商売は成立します。
どちらかに不利な片務条項が入る余地はありません。
しかし、日本ではそれがまかり通ってきました。
そのことは日本のサービスが質の向上した一方で、労働がひどく貶められる結果ともなりました。


東のエデン』映画版では、主人公の滝沢がこんなことを言っていました。

お客様は神様です、って言葉は、本当は働く側の気持ちの問題じゃないかって。みんながサービスの受け手になって、サービスする側が誰もいなくなる世界っておかしいんじゃないか。本当は対価を受け取る方が気持ちがよくないといけない。(正確な台詞は忘れました)


つまり、労働に喜びがない仕事は間違っているということです。
正論だと思います。
確かに、仕事のすべてが楽しいとは限らないけれど、少なくとも、まったく楽しいと感じられない仕事は仕事として成立しません。


悲しいかな。
今の子どもたちも消費者として生まれてきます。サービスの受け手側です。
お金さえあれば子どもでも大人が「神様」として扱ってくれる。
この感覚を幼い頃に味わっては、労働側に行くわけがないし、労働に喜びを感じるはずもありません。
少なくとも、労働の結果として消費者の喜びがあることを理解させる必要があるのではないでしょうか。


大人も子どもも含めて労働にたいする感覚を変えない限り、日本は働きたくない社会になってしまいます。
それはひどくつまらない世界です。