活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

2時間枠のLOVE&PEACE


劇場版『エウレカセブン』を見ました。
おもしろかったですよ、劇場版単体で見れば。
物語もよくできていて、無理のない作品に仕上がっています。内容自身も、TV版の再編集や再構築というわけではなく、キャラクターや基本コンセプトを継続しながら、新しい物語を構築しています。
方向性としては、TV版よりマニアック向けか。


まず、物語でいえば、無理にTV版のキャラクターを持ってきている感が否めません。
デューイが登場する意味がまったくありませんでした(死人としてですが)。
TV版は緻密な計画があって、それに従ったり抗ったりしていました。アゲハ構想があって、良くも悪くもそれに振り回されているのが主人公たちでした。
しかし、劇場版は確かに神話構想があるものの、よくわからないですし、それを破棄して新しい神話を紡ぎだそうとするのも、ムムム。


どうも、TV版の並行世界のようですが、完全に「セカイ系」と化しています。
レントンエウレカの二人だけの世界、って感じですね。
おそらく今回のコンセプトは「LOVE&PEACE」を前面に押し出したものでしょう。いたるところで、いちゃいちゃいちゃいちゃとカップルばかり。というか、三賢者もですか! 最後はユルゲンス、お前もか(爆笑)。


登場人物についても、定型化されてしまった印象を受けました。
2時間枠では仕方ありませんが、レントンに悩みや葛藤が一切ありません。TV版は好きな女の子のためや、理想と現実とのギャップにじたばたしますが、劇場版にはそれがありません。人を殺すなんていけない、と言いながら、次の瞬間には平気で人を殺していて、それに対する思想がまったくありません。
エウレカも、萌え萌えポイントがアップし、マニア向けの性格に変更されています(苦笑)。ここにも、TV版にある人の気持ちを理解しよう、というコーラリアン(劇場版ではイマージュ)としての存在が欠如しています。
ホランドをはじめとするゲッコーステイトも思想がありません。サブカルの要素がすべて削除され、本当に単なる反乱軍になってしまっています。


そして、全体で何より残念だったのが、音楽性がなくなってしまったことです。
サブカルやテクノミュージックなどを多用して、音楽と映像のコラボレートがあったのに、劇場版にはありませんでした。
エウレカセブン』の売りはサブカル要素やミュージックなのに、それがなくなってしまったエウレカはおもしろさはあるものの、惹きつけられるものはありませんでhした。


今日はいろんな意味で残念な日です。