活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

僕は一人では生きていけない

本当は誰もが誰かのために何かしたいと思っています。
しかし、何かしらのボトルネックがあるために、それができないでいます。



本書は「社会事業家」という聞きなれない職業の本です。
つまりはNGO法人と言い換えてもいいかもしれません。
世界の抱える課題に対し、解決する社会事業をする集団です。


正直、この本を読んですごくワクワクしました。
そうか、こんなことができるのか、と本気で思いました。
それまで社会事業とはボランティアのようなもの。無償が当たり前。自分を削って他人に為に何かする。
そんなイメージがありました。
しかし、れっきとした「仕事」であり、だからこそ「報酬」をもらってしかるべきです。
「報酬」とはもちろん金銭ですが、同時に自分に対する評価でもある、その考え方に非常に共感しました。


社会事業で「報酬」をもらえるなんて、つまり評価されるなんて、なんかすごくいいですよね。
正しいことをし、そのプロセスをきっちりとし、成果を上げ、それが評価として目に見える。だから、社会事業を続けられる。
「仕事」とは、こうあるべきだな、と再認識しました。


社会的に正しいことを、成果の出る形でキッチリとこなす。そのうえで評価がなされる。
世の中の仕事は、その「社会的に正しいこと」が欠けています。
とにかく利益が上がればいい。どんな方法であっても。
だから、仕事がつまらなくなるんですね。


本書は著者の活動であるTFTを中心に、社会事業を運営するためにはどうすればいいのか、が書かれています。
もちろん、TFTの活動自身素晴らしいものです。
しかし、それ以上に、本書で述べられている「しくみ」作りに感心しました。
結局、どんな素晴らしいことも「しくみ」がなければ人はやらない。だから、「しくみ」を作ることが重要なんだと。
そのとおりです。


いま求められている能力は「しくみ」を作り上げる能力ではないでしょうか。
そのための方法論が様々で、一様ではありません。
ただ、モチベーションや「しくみ」の大切さを再認識できたことは収穫でした。