活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

君たちに明日はない

私の属している教育産業(塾・予備校)は人材の入れ替わりが激しいことで有名です。
なぜ、入れ替わりが激しいのでしょうか。
その理由を自分なりに考えてみました。


思い当たる理由は2つあります。
1つはノウハウのなさです。
仕事をしている人たちは理解できると思いますが、どの企業でも何かしらのマニュアル・ノウハウというものがあります。一番分かりやすいのはフランチャイズでしょう。フランチャイズ仕入れ・マニュアルなどを一括して他へ貸し出す業態です。
つまり、マニュアル・ノウハウこそが重要なのです。


それに対し、塾・予備校は講師のポテンシャルに頼る部分が非常に大きい。
もちろん、指導方法の共有化をしているところもありますが、ほとんどは自分で何とかする講師ばかりです。
先輩が後輩に対し、あるいは上司が部下に対し、何の指導もしないのに問題点だけ指摘する、そんな業界と言えるでしょう。
そんな環境で長く勤めたいと思うでしょうか。


否、そんなMな人間は数多くありません。
ゆえに、若手が数年でやめてしまうわけです。


もう1つは業界の構造的問題です。
理想と現実のギャップがもっとも大きな業態だからです。
理想は生徒の学力を伸ばし、夢に向かって突き進める実力をつけることです。
しかし、実際には売上主義に走っている企業がほとんどです。
どれだけ高邁な理想を掲げていても、中に入ると「そんなことより業績だ」といなされる、そういう表裏の激しい業界です。


もちろん、理想を追いかける講師もいますし、すべてがというわけではありません。
しかし、企業視点で立った場合、少なからず売上主義であることは否めません。


売り上げを伸ばさなければ理想を実現できない、という現実的問題があります。
「武士は食わねど高楊枝」とはいかないのも現実です。


しかし、一方で生徒の満足度を上げ、しっかりと道筋をつけてあげることで売り上げは伸びます。
つまり、成績を上げることで売り上げも上がるのです。
これは業界全体の常識でもあります。
にも関わらず、それができない企業が多すぎる。
ゆえに安直な売上主義になる。


それに嫌気をさしてやめていく人もいるわけです。


このような2つの理由から人の入れ替わりが激しいではないでしょうか。
もちろん、仕事そのものがきつい、というものあるのでしょうが。


これらはすべて企業体質の問題です。
つまり、企業が改善すれば人材流出が防げるわけです。
人材が資本である業界で人材の流出がどれだけ問題か、その意識を持ち、改善していかない限り、教育産業に明日はないでしょう。