ちょっと面白いかも。
ロボット(=アンドロイド)のいる、未来の日本、かもしれない場所。
その中で、自分のアンドロイドが奇妙な行動をしていることに気づく少年。
彼はアンドロイドの行動ログを調べ、彼女が寄り道をしている、その場所へと向かう。
そこは《イヴの時間》、人間もロボットも区別しない喫茶店だった。
という内容の、SF作品です。
まず、すごく雰囲気が良い。ロボットのいる世界が日常で、その中で奇妙な非日常を見つけるのですが、それが大事ではなく、いつもとは違う店に入ってみる、そんな感じです。
15分前後の短編アニメですが、濃密な時間でした。
ストーリー自体も巧妙です。
それまで築き上げた(作品内の)常識・共通事項が最後に崩れる、いい意味での裏切りを持つ構成になっています。
作品の内容に触れると、それは野暮というものなので、ここでは詳細には触れません。
しかし、こういった構成は「日常の謎」系のミステリによく見られるものです。
我々は映像は特になんとなく見ている傾向にあるので、それを映像でやると非常に効果的です。思わずにやり、とさせられますし、どきり、ともさせられます。
アンドロイドの擬人化が進んだ世界で、人間とロボットの境界に悩むアニメはよくあります。
その最たるは『メトロポリス』でしょう。
手塚治虫が描いた漫画をりんたろう監督が映像にした作品です。
人間でなくても愛することはできるが、しかし、それゆえに悲劇にもなる。
基本的に、この手の作品はそういう構成をとります。それは人ならざる者との恋の常套と言えるでしょう。
しかし、ロボットが擬人化する、というのがアニメの世界だけ、とは言い切れない部分もあります。
現在、人間にそっくりなロボットの開発が進んでいます。
ある開発では、シリコンの皮膚を張り付けて、顔や手など人間そっくりにしたロボットの開発さえされています。
いずれ、アニメのような世界が現実になるのでしょうか。
閑話休題。
『イヴの時間』は難しいことを考えず、娯楽として十分面白い作品です。
今後、主人公たちとロボットたちがどう関わっていくのか、楽しみです。