何事もフツーが一番。
そんな世の中になっています。
それが悪いかどうかは別として、あまり面白くない世の中だというのもまた事実。
- 作者: 伊達直太,人生戦略会議
- 出版社/メーカー: WAVE出版
- 発売日: 2009/04/18
- メディア: 単行本
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そんな時代に出てきたのが本書。
要するに、さまざまな調査結果から見えるフツーと自分を比べて、フツーの感覚を養おう、というのが本書の目的です。
趣旨としては面白いですし、価値もありますが、ただ本当に「平均」がフツーなのか。
すでに『不透明な時代を見抜く「統計思考力」』で述べられているとおり、平均が必ずしも実態を現わしているわけではありません。
そのひとつに平均年収が挙げられます。
本書では各年代の平均年収を挙げていますが、平均年収は極端な数値で実態を歪めてしまいます。ですので、平均とともに中央値(上から数えても下から数えても真ん中の実数)も挙げるのが「フツー」です。それがないのに、平均年収をもらっているのがフツーです、というのはいかがなものか。
確かに収入・支出・貯蓄の三角形のバランスや中庸であることの大事さなど、重要なことが説かれています。
ですので、すべてが間違っている、というわけではありません。
事実、収入・支出・貯蓄のどれかが極端な生活は実生活に支障をきたします。私自身、バランスの悪い生活をしたりもするので(おもには本で)、それはよく理解できます。
ただ、数値の生み出す虚構を理解しないで、これを読むのは危険です。
問題は自分が極端な思想や行動に走っていないか、セルフコントロールができるか、ということです。
その観点でみると、本書は有益です。
もっとも、このフツーが一番大変なのですが。