活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

文系バカに理系バカ、同じバカならかわらにゃ損損


理系バカと文系バカ (PHP新書)

理系バカと文系バカ (PHP新書)


『理系バカと文系バカ』
理系バカと文系バカ、言い得て妙です。
そうなんです。どれだけの人が、この「文系」「理系」という言葉に惑わされていることか。


確かに、自分の進路を考えるうえで「文系」「理系」は一つの指針になります。
しかし、それがすべてではありません。
というか、教育産業に身を置く人間として、さらに言わせてもらえれば「数学」ができるかどうか、とも言えます。


だいたい文系・理系選択とは、「物理が(科学が、生物が)できるから理系」、「したくないから文系」「つぶしが利きそうだから文系(法学・経済学)」という生徒が非常に多いです。
実は「数学」ができる理系は非常に限られています(中には数学好きもいますが)。


数学ができる生徒は、比較的頭の良い生徒が多いです(文理問わず)。
本書で言うバランスのとれた人です。
本書はもっと理系に力を入れて、文理融合型の人間を作っていこう、と言っていますが、私はもっと先鋭的に「数学」の出来る人間を育てるべきだと提言したい。
なぜなら、数学は科目の中でもっとも抽象的で、しかも問題解決能力に直結する科目だからです。
正直、高校の大半を英数国の3科目に費やしてもいいんじゃないかとさえ思います。


それはさておき。
確かに、本書の言う通り、文理融合型の人間を育てていかないと、日本の人材は枯渇します。
今、本当に就職のために「法学部」「経済学部・経営学部」を目指す生徒が多いのが現状です。
ですが、実際はどうでしょう。
法学や経済学ではどうしようもない現状ばかりです。
100年に一度の経済不況で、法学・経済学を学んだ官僚・政治家が何をしましたか?
何もしていませんよね。
いくら税金を注入したところで、金融経済が膨張した現在の経済システムでは無理なんですよ。
金融経済は実際に存在する貨幣の何百倍、何千倍も大きな規模の経済なのですから。


それを理解しない文系官僚・政治家がいくら何をしても無駄なんです。
かといって、理系に何ができるかといえば何もありません。彼らもまた解決策があっても実施する能力がないのですから。
だからこそ文理融合型の人間が必要なのです。


本書はその一つの提言と言えるでしょう。