- 作者: 柳広司
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/08/29
- メディア: 単行本
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「このミス」にランキングされた作品です。
出版当初から表紙に惹かれ読んでみたいな、とは思っていたのですが……。
最近、どうにもハードカバー(単行本)に手が出ないんですよね。
1500円という価格がネックなのが一つ。通勤途中では読みづらいというのが一つ。
価格の面で、面白い本なら出しても惜しくはないですが、それほどの作品に出会うのは稀です。昔は、結構チャレンジしていましたが、今は「文庫になったら買おう。どうせ文庫になるだろうし」と買わないんですよね。
いえ、ある程度面白いのは分かっています。
だから、文庫になるのですから。事実、『独白するユニバーサル横メルカトル』も文庫になりましたし。
なので、文庫ばかり増えています。
ですが、それでもあえて買ってみました。
実際、面白かったです。スパイものなのですが、短編ミステリとして充分に読み応えのあるものです。
ただ、短編集にするより最初の「ジョーカー・ゲーム」の佐久間を機軸に、D機関の面々をストーリー立てていったほうが深みがありますね。
短編だと、「ここまでは分かる。さあ、どうひっくり返す」という感じで、ネタのほとんどが分かります。最後に展開がひっくり返って、なるほど、と思わせますが、せっかくスパイものならもう一展開あってもいいですね。
しかし、それだと短編では収まらない。ここがネックです。
「ジョーカー・ゲーム」と「ロビンソン」はそれに近いことがありましたが、残り2編は微妙です。
そういう意味で、面白いんだけどひと味足りない、といったところでしょうか。