- 作者: 樋口裕一
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2003/07
- メディア: 新書
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『ホンモノの思考力』を読んで、やはり「型」というのは大事なのだと再認識しました。
樋口先生は、大学受験向けに小論文指導をしている小論文の大家です。彼の著書は一貫して、形から入れというものです。その形というのは文章の構造のことをいっています。
私の意見はAだ。
確かに、(Aに対する)Bという考え方がある。しかし、Bにはこういう問題がある。
だから、Aという考えだ。Aにはこういう利点があり、こういう効果が求められる。
ゆえに、私はAという意見だ。
端的にすると、このような構造です。
こういう構造を繰り返し書いていくことで、やがては文章力を身につけることができるというのが、樋口先生の考えです。
それはちょうど、武芸や歌舞伎・能の型にも似ています。
理想的な形を繰り返すことで、それが自然と身に付いていく、まさに体が覚えている状態にするのです。
そうすることで、それを変化させたり、新しい形を作り出していけます。
スポーツも同様ではないでしょうか。
そこで考えているのが、「演劇にも『型』の概念を持ち込めないか」ということです。
現代演劇には『型』と呼べるものが存在しません。
むしろ、それを否定するところから入っているので、ありえないと言ったほうが正しいかも知れません。
いわゆる「みなさん、自分の好きなことを表現して下さい」という放任主義教育です。
それでできる人もいます。たぶん、初期の唐十郎などはそうなのでしょう。
しかし、それは方法論ではありません。
方法論を自由にしてしまったがゆえに、その「自由」に束縛されているのではないでしょうか。
もう少し、「カタチ」というものにこだわる必要性があるのかな、と考えています。
まあ、具体的な何かがあるわけではありませんが。