活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

下流の先に大海はあるのか

下流社会 第2章  なぜ男は女に“負けた

下流社会 第2章 なぜ男は女に“負けた"のか (光文社新書)


今話題の下流社会
これまでは総中流社会を目指してきた日本が一変し、上流と下流に分かれる階層社会になりつつあります。
それを本書は年齢差、男女差、正社員・非正社員差などから考えています。


本書の素晴らしい点は、何と言っても統計データの多さです。
これまでの下流社会を論じる書籍の多くが、イメージであったり、実体験に基づいた発言でした。
しかし本書は、その点を踏まえて統計データからどう現れるかを明らかにしています。特に、正社員とフリーターとでは見る雑誌が明らかに違うのは面白かったです。
他にも、様々な違いが明確になった点が勉強になりました。


そもそも下流社会を作り出しているのが、アメリカ流の新自由主義です。
それが悪いか良いのかは、リーマンショックなどの結果を見れば一目瞭然でしょう。
日本は、それまで北欧流の手厚い社会福祉を目指していたはずですが、いつの間に変わってしまったんでしょうか。
確かに、その結果によって一部に富をもたらしたのは事実です。
ですが、それによって大量の下流を生み出しました。そもそも多数の下流を生み出すことで、上流を作り出すシステムですから当たり前ですが。


その原因の一端は、日本が先進国であり続けようとした結果だと思います。
北欧のように、極端な成長を望まなければ問題ないはずが。
今の状況はまるで明治時代の日本と同じではないでしょうか。
一部の上流が支配し、多くの下流を生み出している。中には成金も生まれたりと。
下手をすると、そのまま戦前と同じ状況がおきかねません。
考えるべきことではないでしょうか。