活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

お願いだから、すべてがFになって

探偵伯爵と僕 His name is Earl (講談社文庫)

探偵伯爵と僕 His name is Earl (講談社文庫)

『すべてはFになる』以来、森博嗣のファンなのですが……今回の作品はちょっと。
確かにミステリーランドのコンセプトが「かつて子どもだったあなたと少年少女のために」であり、少年少女向けであることを加味しても、微妙でした。


全体的に、はやみねかおる臭がして、森らしさが見られませんでした。
確かに、作品自体は構成された巧い作りになっています。しかし、どうにも子供だまし的な部分が感じられます。特に、作品中盤主人公が犯人に追われて携帯電話を落としてしまうシーンは予定調和的で不自然でした(しかも、2回も!)。


流石に、ラストのどんでん返しは森の面目躍如だな、と思いました。
しかし、それ以外に見るべきところがなかったのもまた事実です。
少年少女向けにするには、友人をあっさり殺してしまうのもいかがなものかと思いますし、中途半端にミスリードを持ってくるのも不要でしたし、作品の完成度という意味では、これまでの森作品とは比較したくもありません。


やはり、森博嗣は『すべてがFになる』や『スカイ・クロラ』みたいな作品が似合っています。