活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

流れを変えろ


三浦展下流大学が日本を滅ぼす! ──ひよわな?お客様?世代の増殖』
下流社会』の著者が、日本の教育制度(主に大学)について意見している新書です。
一言で言えば、エリートを作り出せ、というのが彼の持論のようです。
今の大学は大学全入時代が表す通り、大学を選ばなければ誰でも大学に入れます。それはとりもなおさず大学ブランドのデフレといえるでしょう。
その中で、「お客様学生」の増加の問題を取り上げています。
お客様学生とは、自分で何かをしようとせず、ファミレスのように一から十まですべてやってもらう学生のことを指します。


お客様学生の増加の問題を、大学側と学生側の両面から考えています。
大学側はAO入試などに見られるように学生を収入源としか考えず、大学に入る基準に満たしていない(人格・学力共に)高校生を入学させることに、大学の問題があるとしています。
一方、学生側は大学をあくまで肩書きとしてしか考えず、意欲のない人間までが入学してしまうことに問題があるとしています。



彼の唱えるエリート養成、教養主義自体は否定しません。むしろ、大学に入る以上は教養を養う必要性があると私自身も考えています。東大の学費をタダにする案や職業大学の創設も必要なことだと思います。
ただ、大学進学率20%に抑えるのはいかがなものか。


予備校産業に身を置くものとして、確かに今の学生は資格としての大学、就職としての大学と考えている生徒が大半です。なので、職業大学の創設は「なるほど」と思わず膝を叩きました。
ただ、高等学校の廃止や進学率の抑制、オンライン大学の創設、地域コミュニティの設置は無理があると思うのです。
もちろん、著者自身がすべて実現するとは考えていないでしょうが。


私はむしろ今存在する大学を、職業大学と教養大学に分ければよいと思うのです。
職業大学は職業に直結する技術を教える大学、教養大学は専門家・学者・国際人を育てるための大学です。いわば、ドイツの高等教育制度と同じですね。


そして、著者が大学受験資格を得るための試験を、センター試験で流用すれば充分に現状でも改革可能です。