活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

ミキちゅぁぁぁ〜ん(爆笑)


キサラギ
あまり面白くないかな、と思っていたのですが、意外に面白かった。
話の全体像は如月ミキというアイドルが自殺し、その一周忌を偲ぶため、ファンサイトの常連が5人が集まるという話。


舞台はそのために借りたビルの屋上にある部屋。
カメラはそこから一切動きません。固定された部屋で物語が進行していくのですが、それが非常に演劇的です。
ほとんどシーンが移動することもなく、ワンシーンが延々と続いていきます。
その中で、如月ミキが実は自殺ではなく他殺ではないか、という疑いが出てくる。そして、容疑者は5人の中にいる……。


と物語が展開していくわけですが、それぞれと如月ミキとの関係が明らかになる手法も非常に演劇的です。1人が怪しくなって彼が告白をしていく。しかし、容疑者から外れて、次の人物へ。
その展開の中で、それまでに張っていた伏線が徐々に解消されていく。
しかも、回想シーンの様なものが間に挟まれるのですが、そこや出てくる如月グッズから彼女の顔をうかがうことはできない。それが観客の想像を掻き立てる。


これは本格的に演劇にしたら面白い。
むしろ、やってみたい。
ラストシーン、全員がヲタ芸をやっているシーンなんて、もうやってみたくてやってみたくて(笑)。


最近の無駄にスケールの大きい邦画にはない面白さが、ここにあります。
ただ、残念だったのは最後の最後で如月ミキの顔を出したことです。ここまで来たら出してほしくなかった。出さないことで、観客は妄想するのに、出されると「えー、こんな娘なの?」と幻滅してしまう(いや、どちらにしろ、B級アイドルだから期待しないけれど)。
それさえクリアしていれば、この作品は近年まれに見る面白さの映画でした。