活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

どうでしょう?

恩田陸『猫と針』。


恩田陸の初戯曲です。
劇団キャラメルボックスとのコラボレーション作品でもあります。


読んだ感想としては……うむむ。
なんでしょう。恩田陸らしさは少ない。伏線や設定が回収しきれていない。などなど。
恩田陸らしさとは何か、といわれると難しいのですが、恩田陸の薫りがしないんですよね。なんか普通の台本を読んでいるような感覚です。考えているんですけど、やりたいことの半分もできていない、消化不良が見えます。小説の恩田陸ファンからすると、物足りなさがあります。


面白い設定がけっこうあるんですけど、それが使い切れていません。
それに、ラストシーンも何かが起こりそうで結局起こらない、今時の戯曲なんですが、終わりきれていません。
一番ひどかったのは、モノローグの部分がまったく必要ない、ということでした。たぶん、そこで魅せようと思っているですが、非常に説明臭くて高校演劇ぽかったです。


本人は毒を込めた、と書いてありましたが、小説の方がよっぽど毒々しいです。
まあ、キャラメルボックス向けなので、仕方ないと言えば仕方ありませんが。


最初から、あまり期待はしていなかったんですが……最初がよかったので、大丈夫かも、と思ってしまったんですよね。