活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

作家の精度

伊坂幸太郎『死神の精度』は短編連作ですが、一つの長編としても読むことができます。
それはネタバレになるので、ここでは明かしませんが、流石は伊坂、といったところでしょう。


伊坂幸太郎の面白いところは、何と言っても、作品に流れる哲学です。哲学なのか微妙な気もしますが、どの作品にも見られる、ファンタジーでありながら、どこか現実的で、あるいはリアリズムでありながら、どこか幻想的な雰囲気でしょう。


『死神の精度』は、死神が登場しながら、その死神がサラリーマンのようです。しかも、仕事そのものや死にまったく興味がない。彼らの興味は「音楽」だけと、奇妙なのですがちょっと滑稽な死神です。
「人間が作ったもので一番素晴らしいのはミュージックで、もっとも醜いのは、渋滞だ」
この台詞は素晴らしいですね。某カヲル君が言った台詞以上です(笑)。


伊坂はやはりいいです。
ハズレのない数少ない作家ですね。