フジテレビが満を持して放送した『ミヨリの森』。
結論から言えば、そんなんでもなかったな。
子供向けアニメとしては充分に面白い作品だけれど、監督が山本二三の割には微妙というか。そもそもアナウンサー総出演みたいなキャスティングもいかがなものかと。
確かに森の背景は美術監督出身で、ジブリ作品を主にやってきた人なので綺麗ですね。ですが、ストーリーやキャラは大人も楽しめるほど描ききっていない感があります。
『千と千尋の神隠し』と同じような間違いを犯しています。たいしたエピソードも伏線もなく無気力・拒絶状態を解消してしまうのは、リアルとしてはありだけれど物語としてはナシですね。物語はドラマチックでなければならないのですから。
妖怪の交流と感情の変化を巧く書ければ充分に面白い作品に仕上がったのでしょうけど……。
それに役者ではない芸能人を多用するのもいかがなものかと。結局、市原悦子が際だっていただけですし。流石、日本昔話。というか、最初は「ああ! 日本昔話だっ」と本気で思いました。
芸能人がドラマや吹き替えに登場するのは否定しませんが、最近むやみやたらにやりすぎです。特に芸人の露出が多すぎ。もう少しバランスを考えて配役してもらいたいものです。
全体としてはできていますが、ディテールの部分でいい加減。やはり美術監督出身ではストーリーに気を配れないのでしょうか。