活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

すべてはスパイスひとつまみ

書きたいことは山ほどあれど、あれこれくだくだしく書くのも好きではありません。
というわけで、書きたいことを絞って書いてみたいと思います。というか、書くわけですが。

今日、『スーパーエッシャー展』と『パプリカ』を観に行きました。
騙し絵で有名なエッシャーですが、最初の頃はただの版画家でした。それが正則分割や遠近法に傾倒し始めて、よく知るエッシャーの版画が生まれるわけです。その辺はピカソとかと同じような気がします。彼も最初の頃は普通の画家でした。


ありのままの世界ではなく、世界を多角的に見たらどうなるのだろう。そんな印象を受けました。ただ多くの絵を見て、騙し絵以前の彼の絵は「巧いだけの絵」でした。
騙し絵以後の絵も面白いのがいくつかあっただけで、そこまで惹かれることはありませんでした。その当時としては新しい試みですし、素晴らしい作品もあります。スーパーがつくほどではないですけど。


作品の是非は専門家に任せるとして。美術館経営としては成功といえます。朝早く行ったのに凄い盛況ぶりでしたから。


さて、『パプリカ』です。
やはり、今監督はすごいですね。何が凄いかと言えば、非常にストーリーが細かいことです。物語の基本である「人物を走らせる」を地でいっていますが、まるで騙し絵のように複雑に絡み合う伏線を用意しています。
人物に無駄がないのも特徴です。今回出てきた主要な登場人物はなんらかの役割を持ってストーリーに絡んできます。それが無理なく、おそらくこうなるであろうという予測を持って出てくるんですよね。


彼のテーマは「夢」なのではないかな、と今回見て思いました。処女作『PrefectBlue』は見ていませんが、『千年女優』『東京ゴッドファーザーズ』ともに、そのテーマが流れています。
千年女優』はまさに女優の見た夢が映像化されていく物語であり、『東京ゴッドファーザーズ』は主人公達と清子が織りなす一夜の夢のような物語です。


『パプリカ』でも今までと同様、台詞やシーンが後の伏線になっています。その辺は今監督の手腕といったところです。


しかし、結局『パプリカ』は誰が主役なのかよく分からなかった気がします。些細なことですが。