活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

We will Rock you!

先日、東京国立博物館で催されている『仏像』を見学に行きました。
日本の一木造の仏像が一堂に会したわけですが、その前に一木造って何? ってことなのですが。つまりは、一本の丸太から削りだした仏像のことです。


その何が凄いのか。一本の丸木から削るわけですから、木の幅よりも仏像は小さくなければなりません。多分思い描くような阿吽の仁王像みたいに、躍動感のある動きをつけることは難しいのです。
さらに中を空洞にした場合は別ですが、そうではない場合は木の収縮でひび割れを起こしてしまう可能性があります。
この二つの問題を克服しながら、それでも精緻な仏像を造り上げる技術は、まさに日本ならでは。


ですが、一番感動したのは円空による鉈彫の仏像です。他の技巧を凝らした仏像も素晴らしかったのですが、もとの木が残った状態の荒々しい仏像に本当に感動を覚えましたっ。
写真を見たときはまったく思わなかったのですが、実物を見た瞬間、身体が震えました。


作品がアートでロックなんです!


いえ、非常に抽象的ですね。確かに奈良・平安期の仏像は優雅で洗練されています。しかし、円空の仏像は素朴な信仰に基づいて、彼のエネルギーを一気に木に込めた情熱のようなものを、確かに感じるのです。
円空の仏像は荒くしか削っていないのですが、なぜか激しい動きを感じ、こちら側に向かってくるエネルギーに触れられるのです。
もし、奥深い山寺に円空の仏像があったら、信仰心がなくとも思わず拝みたくなりますね。


まさか、仏像に対して「Rock」なんて言葉を使うとは思いませんでした。
円空の仏像は一見の価値ありです。