活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

映画礼賛

ここ一週間で見た映画、『リバティーン』『ネバーランド』『ある子供』『雲の向こう、約束の場所』。
こうしてみると、自分の趣味がまったく分からない……(苦笑)。


本当はジョニー・デップ三昧にしようと思ったんですが、『パイレーツ・オブ・カリビアン』が借りられなかったので断念しました。それでもジョニーは凄いですよ。『リバティーン』では天衣無縫の伯爵を演じ、『ネバーランド』では空想好きな劇作家を演じ、それでもそれぞれの魅力がある。『シザーハンズ』で、エキセントリックだけれど悲しい役どころを演じた頃から、いい役者だと思っていましたが(あの頃は監督がティム・バートンで、主演がジョニー・デップとは知りませんでした)。
特に『リバティーン』はプロローグとエピローグの演出が非常に巧い。薄暗い中(まるで蝋燭の灯りの中)、ジョニー扮する伯爵が独白するだけなのに、最初の30秒で引き込まれてしまいました。そして何よりラストの「それでも私を愛するか」と何度も繰り返すシーンに、それまでのストーリーがまるでこの複線とでもいわんばかりに、自分の頭の中でそれまでの様々なシーンが甦りました。
何より、チャールズ二世の最後の一言「よくやったぞ、ジョン」に惚れました。


『ある子供』はヨーロッパ映画らしく、日常を切り取った自然体のカメラワークとストーリーですね。ホント、あんなバカップルいそうです(笑)。
最初は主人公の自分勝手ぶりに不快感さえ覚えました。それがラストシーンのひったくり仲間の少年を助けるために、警察へ自首する場面は役者の表情もさることながら場の雰囲気が変わる瞬間を感じました。それまで子供だった主人公がようやく「痛み」を知って大人になるシーンはこちらも胸が詰まりました。
なんとなく「ある子供」はブリュノのこどもジミーであるけれど、本当はブリュノ自身なのかな、と思いました。世界中にブリュノのようなこども達がいることをまざまざと見せつけた映画でしたね。


あまり期待していなかった『雲の向こう、約束の場所』。すでに『ほしのこえ』を観ていたので、大体の実力は分かっていたのですが、様々な人の手が入ってどう変わったのかを見てみたかったのですが、。
確かにハレーションのような光の見せ方やストーリーは技巧的だと思うのですけれど、演出がよくない。まず、暗転の多用。多分、TV世代のせいもあるのかも知れませんが、暗転が多すぎる。これでは見ている観客の集中が途切れてしまいます。
次に非常に男視点であること。アニメにありがちな理想的な彼女に、思い出にしがみつく様。「あ〜あ、これだから男は」とか思ってしまいました。
そして、エヴァ的な演出効果とストーリー設定。シーンのアングルがやはりエヴァまんま。これでは「ポスト宮崎」というより「ポスト庵野」ですね。そういえば庵野監督は今何をしているのだろう。もはや安野モヨコの旦那としての知名度の方が高い気が。
なにやら新海監督は新作を制作しているらしいですが、もう見ようとは思わないですね。人間関係が非常に消化不良なんですよね、新海作品は。いや、『世界の中心で、愛を叫ぶ』同様、自己陶酔型なんですよ、主人公が。


そういえば、『ゲド戦記』が今日封切りです。見に行くべきかどうか、それが問題だ。