活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

「二世」紀の戦記

 というわけで、ハウルの動く城がTVで放映されました。
 宮崎作品らしく冒険活劇としては非常に面白かった……のですが、ラスト30分がなんとも。
 2時間まではソフィーがお婆ちゃんにされて、何とかしようと奮闘しつつ、ハウルがいろんなものから逃げていたのをソフィーによって向き合う勇気を得たり、登場人物の成長や人間模様としてはハイクオリティーな出来映えでした。


ですが、


 街が空爆されてからが頂けなかった。特に、あのハッピーエンドの持っていき方。ええ!? カブが? それでいいのか、サリマン。とか今までの出来事は何だったのか。第一、戦争に駆り出された下っ端魔法使いはどうするのでしょう。魔法で怪物になって、しかも元には戻れないのに、サリマン自身が「馬鹿げた戦争を終わらせましょう」って、そっちの方がよっぽど馬鹿げていますけれど。
 と、非常に突っ込みどころ満載な作品で、友人達が「面白い」といった理由も「戦争はいらないよ」といった理由もすべて理解しました。
 多分、監督としては愛国心とか社会の中の一員とかというものの中で、自分らしく自由に生きるには、とかそういったメッセージを込めたのだと思うのですけれど。宮崎監督はメッセージ性が強すぎると、ストーリー等々が破綻する傾向があるように思えます。『平成狸合戦ぽんぽこ』しかり『もののけ姫』しかり『千と千尋の神隠し』しかり。


 さて、それを踏まえて、二世の宮崎吾朗監督。非常に父親の作品を継承している節が見て取れ(CMから)、多分面白いのでしょうけれど、オチをどうつけるのか、それが非常に問題です。
 そもそも、スポーツ・芸能・政治にとどまらず、ついに映画の世界まで二世がはびこるようになってしまいました。それでも能力があればいいのですけれど、CMを見る限りでは監督の力というよりスタジオジブリの力、が見えてきます。
あとは、いかにメッセージ性を前面に出さず、持ち味の冒険活劇をどういかすか、ですね。


 ただ、一部を除いて、どうしてスタジオジブリ作品の主題歌って下手くそなんでしょうか。