活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

何事にも型はある

そのまんま、文章とは型である、というのが本書の主張です。
かの小論文の神様も同じことを言っていました。
それが小説にも及んでいる点で慧眼と言えるものの、独自の視点かと言えば、そうでもない。

一読の価値はある、といったところですか。


院政とは何だったか (PHP新書)

院政とは何だったか (PHP新書)

確かに「中世」=「武士の世界」というのが世間の常識でした。
しかし今、中世は鎌倉幕府成立に始まるのではなく、荘園制の確立によって始まるとしている教科書は多い。
では、なぜ荘園制の確立が中世と言えるか、が本書の論題。


その一つの出発点として中世史の「権門体制」から出発しています。
権門とは何か、権門の一つである院宮家にとって荘園の役割とは何か。
そこから中世の王権を考えています。


権門体制の是非は論じず、一考の余地あり、としています。
そのうえで、従来の権門の複雑性を受け入れるのではなく、荘園から見た権門(特に院宮家)によって中世はスマートに考えることができる。


なるほど、新しい中世論としては面白い論考でした。