「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ
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自明の理ではあるものの、技術力としては日本は優位に立っていた。
局地的に見れば日本軍が勝っていた戦いもある。
それにもかかわらず、戦争後半以降、あれほど連敗を続けたのはなぜか。
それに対し、組織論から論じたのが『失敗の本質』。
本書の究極の目的は敗戦の原因ではなく、日本軍の組織論が今の日本に生きており、それが今後、日本の課題になることを明らかにした点だ。
事実、本書が出版されて以降、日本経済は低迷を続ける。
確かに当たり前なのかも知れない。
戦後に生まれた企業の多くは日本軍の組織や精神論を援用している。
当然、日本軍と同じ組織的欠陥を持ち合わせるはずだ。
日本軍の組織的欠陥とは、高度な官僚体制を持ちながら、実際の運用は属人的であったこと、経営陣の戦略のなさだ。
なるほど、旧来の日本企業に当てはまる現象だ。
日本軍の組織は平時は高いレベルでの運用を可能にしたが、非常時には弊害を生み出すシステムだった。
非常時を常時と想定される軍隊にとって致命的と言えよう。
しかも、現場と大本営との間に有機的な議論はなく、失敗からイノベーションを生み出す土壌もなかった。
さらに不幸なことに、技術力があり、かつ練度の高い兵士が多かったために、戦略のミスを現場がカバーしてしまうこともあったことだ。
それでは変革のしようがない。
これは今の企業にもいえよう。社員一人一人のスキルは欧米のそれより優秀だが、消費されるしかないために高度に運用されていない。
これでは海外企業に勝てようがない。しかも、そういう企業に限ってボトムアップによるフィードバックがない。
人材の消費戦略しか持ち合わせていないわけだ。
本書は歴史学者が執筆したものだが、企業組織論として十分に通じる。
鈴木氏が『「超」入門〜』で企業組織論として取り上げたは当然と言えよう。
今こそ、企業経営陣は本書から学ぶべきだ。
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