自分はやはり研究の世界に未練があるのだろうか。
学問は面白い。
それは間違いなく言えることだ。
知らないことを自分の手で切り開く、そこに研究の醍醐味がある。
けれど、「研究」は才能によるところが大きい。
確かに、大学までの「勉強」は才能ではなくモチベーションでどうにでもなる。
しかし、先端を切り開く「研究」は努力だけではどうにもならない部分がある。それを才能と呼ぶことにする。
私は、その才能がなかったゆえに研究の世界を諦めてしまった。
もしかしたら、努力し続ければ変わったのかも知れないが、それを諦めてしまった以上、可能性の話にすぎない。
文系の研究者になりたい人達に知っておいてほしいこと - bluelines
- 作者: 桜井英治
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2011/11/24
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贈与は儀礼的であり、強制力を伴う行為だったと著者は指摘する。
その根拠を相互性を伴うことと、返答にも格が存在することで証明している。
なにより、一度好意で贈与した場合、それが定例化することに根拠を見いだしている。
中世の贈与はある種の経済を形成し、最終的にはモノを動かさず贈与する虚構のような贈与を繰り返すことになっていく。
市場経済と贈与では越えられない一線があるとしている。しかし、それは明示されていない。
それは今後の研究課題なのだろう。
最終的に、贈与の背景を探り出そうとしている。
その点に非常な共感を得た。
久々に面白い研究と出会ったが、私はその世界にいないことに一抹の寂しさも覚える。