活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

夢想家は夢遊びにうつつを抜かす

http://shimpe1.com/?p=84


彼の言っていることは非常に正しい。
けど、すごく青臭い。


確かに、これからの時代、「自分がいかに生きるか」というライフスタイルが重要になってくるのは間違いない。
その一環として、自分が生きた証を残すこともアリと言える。
その意味で、「3.11 Memorial」という企画はすばらしいものだろう。


だが、彼のやり方がまずかったと思う。
いくら彼個人が立ち上げたサイトであったも、プロフィールに「博報堂」と書けば、否応なしに会社との関わりを考えざるを得ない。
だから、博報堂の広報がサイトを閉鎖するようにと言うのも当たり前だ。
博報堂の手を離れた企画によって、博報堂が受けるデメリットを考えれば当然であろう。
人間は肩書きでしかものを語れない。
ましてや、こんな新しい企画、「博報堂」が立ち上げたと思われても不思議ではない。
人によっては「ああ、個人名にしてパイロット版を出しているのだな」と邪推されかねない。


では、実際にデメリットを受けたらどうなるのか。
具体的に言えば企業イメージに影響を受け、収益が下がった場合だ。
その場合、博報堂の社員が受ける経済的デメリットを彼個人はどう補えるというのだろう。
広げて、関連会社・アウトソーシング会社への損害をどう考えるのだろう。


社会でのやりとりが淡泊にしか描かれていないが、多分「正論」を吐いたのではないだろうか。
だから、「先輩方」は共感してくれたが、会社は一切共感しない。
「理解ある上司」も企画に理解したのではなく、優秀な彼を引き留めたかったのではないか。


彼の文章から彼の優秀さ、企画の面白さが伝わってくるが、「会社」というものを理解していないように思える。


会社は正論では動かない。


これは私自身が痛感させられました。
正論では動かないから人間関係で動かしていくしかない。
日本企業の弱さの一つだと言える。


博報堂を辞め、自分たちでいろんなことをしているが、早晩上記のことが壁となるはずだ。
そのとき、果たして彼は乗り越えられるのだろうか。


世の中にはこんな青年が必要だが、社会は彼を成功へは導かないのだろうな、と思う。