活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

私たちが誤解している印象論について

よくよく考えると、私も含め、世の中の多くの人が勘違いをしているのではないだろうか。
今現在、おおよそ大学進学率は50%。つまり、全国の高校生の半分が大学へ進学している計算だ。
それは誰しもが理解しているだろう。


しかし、偏差値が下がるごとに大学進学数が減ることを前提に、ひどく単純な計算をすると、(高校の)偏差値50以上の高校生が大学進学をしていることになる。
もちろん、現実には偏差値50未満の生徒も大学へ進学しているし、50以上の生徒でも大学へ進学しない場合もあるので単純ではない。
だが、細かいことを切り捨てて、上記のように考えると、偏差値50がスタートラインになる。
偏差値50は中央値なので、そこで半分にすれば高校生の半分とイコールになるからだ。


高校偏差値は35〜75の間にあるとすると、75〜65がいわゆる国公立・早慶上智・MARCHを狙えるレベル、65〜60が有名大(MARCH・日東駒専)レベルではないだろうか。
もちろん、個人の能力によって大きく異なるので、一概にすることは危険だが、おおむねこれで間違っていないと思う。
つまり、東京都であれば国立高校や西高校・日比谷高校、千葉県なら県立千葉や東葛高校・県立船橋、神奈川県なら翠嵐高校や柏陽高校湘南高校といったところが、75〜65だ。かつての地域トップ校である。65〜60はその下、地域準トップだ。


今の保護者・生徒の感覚を見ると、偏差値55以上は大学進学は当たり前、MARCHは狙える、日東駒専はちょっと勉強したら合格する、と考えている節がある。
下手をすると、50くらいの生徒も考えているように思える。
しかし、現実は違う。
県トップレベル校でMARCHが「狙える」レベルだ。必ずしも合格するとは限らない。
もちろん、勉強しているので多くの生徒は合格しているが(それでも、勉強せずに落ちている生徒もいる)。


なぜ、そのようなことが起こっているのか。その齟齬はどこにあるのか。
理由は主に二つある。
一つは国公立・早慶上智・東京理科・GMARCH関関同立日東駒専産近甲龍で大学生数の50%を占めるからだ。
これら有名大学は全大学募集人数の半数を占めるので、全高校生の上位25%が入るという計算だ。
(高校生の50%が大学進学し、その半分が有名大に進学するので、1/2×1/2=1/4)
大学偏差値50以上なければ、これらの大学には入れないので、想像以上に難関だということだ。
ただ、大学生の半数を占めているので、意外に身近にいる。だから、「○○君が合格したなら、うちも……」という意識が生まれる。


もう一つは、高校受験時は中学受験組はいないということだ。
中学受験組は一般に小学校時代の上位層だ。都市部では10人に1人が進学していることから、単純に上位10%が高校受験時にはいない計算になる。
大学受験時には彼らと戦うのだから、有名大に入る上位25%の中に中学受験組10%が存在する。
ということは、残り15%が公立高校と(中学のない)私立高校の生徒で争われる。


以上のことから、実は有名大学に合格することは非常に難しいことが分かる。
私自身、何となく理解していたことだが、改めて計算して驚いた。
大学合格は本人の努力によるところが大きいが、それを無視し、偏差値だけで考えた場合、有名大には上位から合格する。
しかも、一貫校以外の上位15%の生徒しか合格できない(大学進学しない生徒を無視しても30%)。


こんなにも難しいのに、どうして日大なんて簡単だと考えられるのか。
それは単なる印象論にすぎない。
仮に隣のA君が早稲田大学に合格しても、自分には何の関連性がないということだ。
A君はもともと上位15%にいたかも知れないし、勉強して上位15%に入ったかも知れない。
だが、それは貴方には何の関係がない。因果関係を結ぶことはできない。
A君が合格したことと、貴方が合格することの間には関わりがないのだ。


貴方が有名大に合格するためには、ただ一つ、勉強するしかない。
これだけが唯一絶対の事実だし、唯一の因果関係だ。
もちろん、それで合格する「保証」にはならないが。