活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

マンガはやっぱり面白い

第3回連載権獲得!読切バトル J1グランプリ予選結果発表!! - スペシャル - ガンガンJOKER -SQUARE ENIX-


最近、スクウェア・エニックスは私が昔考えた新人発掘を本格的にやっています。
マンガ事業を拡大するうえで、マンガ家の育成は欠かすことができません。


とくに、マンガ家志望は山ほどいますが、商業誌に耐えうる人材は多くはありません。
そうなると新人発掘・育成が急務となりますが、既存の紙媒体の雑誌では掲載紙面の関係上、多くのマンガ家の作品を掲載することができません。
ですが、ネットなら話は別です。
紙面に制限はなく、むしろアンケートなどは気軽にできるし、集計も楽です。
その中から金の卵となる作家を見つけ出しやすくなります。


正直遅いという気もしますが、他を見るとまだ紙媒体の雑誌に依存しています。
そういう意味では、スクウェア・エニックスは先端を行っていると言っていいでしょう。


さて、「J1グランプリ」の作品群ですが、予測では


矢木敬『天は人の上に人を創らず されど魔王を創りたり』
葉月翼『黄昏荘顛末記』
黒『WOLF』


あたりが連載を獲得しそうですね。
もしくは若井ケン『4890!』か秋百合占守『怪談四華』でしょうか。


ISORA『UNDERGROUND CHASER』
イラストとしては見ることができますが、マンガとしては表情が乏しいし、アクションも立て込んでいて読みづらい。
ストーリーもありがちで、変わったところがありません。
たとえば、主人公に特殊能力があったり、二人の特徴が正反対だったりすると面白いのですが、同人の域を超えません。
絵でもストーリーでも魅せられないので、これが連載を獲得することはないでしょう。


虎音『Dark Lunacy』
キャラは非常に魅力的。
だけど、引き込み方がベタ。わずかなページ数ですが、その中で「続きが読みたい」とは思わせられていません。
たぶん、きっちりと40ページとかそれくらいあれば違うのでしょうが、これだけだと先は面白くないかな、と判断されかねません。
もっとキャラを前面に出したストーリー作りであれば、よかったのかも。


十六夜兎月『高利貸グリード』
キャラも展開の仕方もうまいんですが、小さくまとまりすぎ。
まさに同人誌系の典型。
ストーリーをもっと破天荒にして、スケールを大きくすれば、女性に人気が出るかと。
好みの問題も入りますが、正直「だから?」っていう作品。


鍵空とみやき『カミヨメ』
キャラはよくできている。ゆるギャグ系としてはあり。
ただ、ガンガンJOKERの流れとは違うかな。どちらかというと、女性向けマンガ。
下手すると、一迅社あたりだったら連載かも。
あとは、連載というより読み切り向き。ここから話をどう大きくするかが課題になりそうですね。
連載向きに、もっとスケール感のある作品にシフトしたほうがいいかも。


高透レイコ『小悪魔Brother』
ストーリーとしては斬新でよくできています。
ただ、せっかく悪魔でロリでショタで、契約で「妹」になっているなら、悪魔の内心を描くとギャップが出てなお面白い。
今のストーリーだと、「萌ぇ〜」で終わっている。まさにやおい
表面はロリ・ショタ、でも内心は「小悪魔」だと、ギャップで笑いを誘える。


秋百合占守『怪談四華』
話はよくできています。絵とコマ割りは難なり。
しかし、妖怪ものはそろそろ食傷気味ではないでしょうか。最近、他紙でも増えていますが、もうこれ以上、妖怪ものはいい気が。
しかも、イラスト・服装が『東方シリーズ』? に酷似しています。これって大丈夫?


浅羽清香『残念女子と侵略男子』
普通に好きです。でも、ガンガンじゃない。
双葉社とか芳文社とかそっち系。
どこかの連載に耐えうる作品ですが、完全に方向性が違うかなと。
それに連載ではなく読み切りで、連載にしても1巻もつかどうか。


黒『WOLF』
完成された作品です。
キャラもストーリーも展開の仕方、コマ割りもプロといっても遜色ないでしょう。
もしかしたら、大久保篤氏のアシだったんでしょうか。そんな雰囲気もします。
ただ、『SOULEATER』があるので、かぶっている気も。
良くも悪くもガンガンが目指す少年マンガ、といったところ。


若井ケン『4890!』
ゆる系マンガとしてはあり。
キャラもストーリーも完成されていて、わずかなページ数でも読み応えがありました。
ただ、惜しいのは、これは本当に長期連載できるのか、ということ。
1、2巻分でネタがつきそうな気もしますし、なにより電撃向きでは? と思ってしまいます。
ただ、この人の作品は読んでみたい、という力があります。


葉月翼『黄昏荘顛末記』
「大きな妹」「9歳の殺し屋」、こういうギャップが面白いんです。
割と萌え系のありがちなツンデレっぽい感じですが、「大きな妹」という設定はありませんでしたねえ。
そこは斬新で面白い。
ただ、構成がうまくないですね。すっきりとした絵なんですが、読みづらい。
今後の展開が気になる作りになっていますし、この急転直下の展開も面白い。
ガンガンっぽいかといわれると微妙ですが、割と好きな人は多そう。


矢木敬『天は人の上に人を創らず されど魔王を創りたり』
個人的一押し。
ストーリーはありきたりな部分が多いものの、きちんと読ませるストーリー作り、構成、コマ割りはどこかで連載していたのでは? と思わせる。
ただ、多少絵が古臭いかな(昔のジャンプ)、と思うんですが、まあ、そこは仕方ない。
この短いページ数で続きを読みたいと思わせる力は素晴らしい。
今後の展開も十分に広がりそう。スケールも大きいし、魔王候補生の物語だけでなく、人間側もからませることができるので、話はいくらでも作れる。
絵はもっとガンガンっぽくなってくれれば、間違いなく売れる作品でしょう。