活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

小説保守主義

今月の『ダ・ヴィンチ』にて、「ゼロ年代総まくり! 売れてる文庫ランキング」が発表されました。


1位『ダ・ヴィンチ・コード
2位『ローマ人の物語
3位『指輪物語
4位『居眠り磐音 江戸双紙』シリーズ
5位『坂の上の雲
6位「ガリレオ」シリーズ
7位 田口・白鳥シリーズ
8位『バッテリー』
9位『竜馬がゆく
10位「検視官」シリーズ


こうみると、順当な作品ばかりです。
岡野宏文豊崎由美の対談でも話が出ていましたが、「こういう品揃えでないと売れない」そのままです。
個性と多様性の時代と言われながら、結局人間のほうが多様性に対応できていません。
作品は多様化しながらも、その多様性に人間が追い付いていないために、「みんなが読むものがいいもの」と追随現象が起きているのでしょう。


出版が多様な好みに合わせて細分化される中で(自明的に細分化している)、読者は自分の好みをどう探せばいいのか、見つからない時代でもあります。


村上春樹『1Q84』に見られるようなブランドへの傾倒もその一つでしょう。
確かな価値基準を確立できないために、他人の価値基準、販売数で判断する。
それが悪いと言いませんが、ますます一部の作品に人気が集中してしまいます。
結果、それは多様性の喪失といえないでしょうか。


多様性の時代、と言われながら、出版の世界は逆を行っている。そんな状況がランキングから見てとれました。