活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

都市の灯が闇を駆逐するように

もっけ 9 (アフタヌーンKC)

もっけ 9 (アフタヌーンKC)


もっけ』がついに終わってしまいました。
確かに、山もドラマもない物語なので、よく9巻まで出たとは思いますが。


ただ、意外と好きだったんですよね。
世界を救うわけでも、特殊能力者の戦いでもなく、異能者(ここでは霊能者というべきか)がその能力ゆえに社会と適切な距離をとれないでいる。一方で、妖怪との距離とも測りかねている。そんな物語です。


この物語の特徴は、妖怪の描き方が民俗学をベースとしている、という点です。
だいたい、妖怪モノというと、妖怪同士の派手なバトルや妖怪を扱った奇妙な事件を解決する、といった冒険決劇系が主でした。
それに対し、本作はデフォルメはあるものの、古代から語られる妖怪を忠実に再現しようとしています。それゆえに民俗学を援用し、異能者の描き方も普通の人間として描いています。


それゆえの面白さである一方、それゆえに現代漫画では受け入れづらい構造でもあります。
今の漫画はどれだけアクティブに、バイオレンスに、コミカルに、するかがキーポイントです。それがない漫画は残念ながら淘汰されてしまうのですかね。


熊倉先生の次回作に期待!


としておきましょう。