活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

脱「略奪主義」、脱「自分主義」

脱「ひとり勝ち」文明論

脱「ひとり勝ち」文明論


100年に一度だか1000年に一度だかの不況の中、他人を追い抜き、ナンバーワンになろうとする機運はますます強くなります。
ですが、本当にそんな社会は正しいのでしょうか。


本書はそんな社会(「ひとり勝ち」文明)から脱却していこうという内容です。
これまでの化石燃料から太陽電池へ、転換することで世界全体が豊かになる、と主張しています。
それは、化石燃料は有限だが、太陽電池は無限である。ゆえにエネルギー問題を解決することができる。問題はコストを安くすることだけだ、と。
そのコストも、大量生産することで流通可能な金額まで下がると、著者の清水氏は述べています。


日本はこれまでの太陽電池技術やリチウムイオン電池など、これからの脱「ひとり勝ち」文明に必要な技術を持っている。そこで、日本こそが次の世代を牽引すべきだ、日本の生き残る道はこれだ、としています。


その可否は別として、次の2点に非常に賛同を覚えました。
ひとつはナンバーワンではなくオンリーワンであろうとすること。
ほかの企業などを見ても、素晴らしい企業や正しい成長をしている企業はみな「オンリーワン」企業です。
すでに他人を蹴落とすナンバーワン争いは終焉を迎えています。それに気づくべきだと思います。


もう一つは著者自身が自分の仕事を「いろいろ能力のある人たちに仕事を分担して依頼していくこと」と言っていることです。
私自身もそうですが、日本はとかくゼネラリストを作り出そうとしていますし、そうあれと求められます。当然、できることが多いほうがいいですが、同時にスペシャリストであるべきだとも考えます。


世の中は2種類の人間で構成されるべきだと考えています。
ひとつはオールラウンド型のエリート、もう一つは何かに特化したスペシャリスト。
スペシャリストが生み出した技術や価値を、エリート(ゼネラリスト)が結び付けていく、そういう社会や企業こそが今後生き残っていく社会や企業ではないでしょうか。
誰もがスペシャリスト、ゼネラリストではいずれ倒れてしまいます。
これまでの優秀な社長はスペシャリストを結びつけられるゼネラリストだったからこそ企業が成長しているのではないでしょうか。


本書から見えてくることは、オンリーワンこそが21世紀型である、ということです。
それにより、Win-Winの関係ができるのではないでしょうか。
勝ち負けにこだわる世界は、すでに20世紀で終わりました。
これからの世界は互いの特徴を生かしあうことが、生き残る唯一の方法です。