活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

真逆な感じもまた

今日はお休みだったので、DVDを借りて映画鑑賞。


時をかける少女
ご存じのとおり、筒井道隆氏原作の作品です。
ただ、2006年公開のアニメ版の方です。
原作そのままではなく、原作を基調として「タイム・リープ」の部分を使った作品と言ったほうがいいでしょう。


設定は原作とおなじ。二人の男友達、その間に揺れながら、自分の恋には臆病な少女。
最初は自分のために不運だった出来事をやり直すのですが、それがもとで、周囲の人が不幸になっていく。それをやり直そうとするが、さらに不幸になっていきます。


作品としてはよくできています。
伏線がきれいに整っていますし、何気ないシーンに重要なことが隠されていたり、など。
ただ、話としてはこじんまり、といった印象です。
面白いんだけど、映画にするほどではない。
2時間もののスペシャルアニメくらいですかね。
そういう意味では、『猫の恩返し』に近いかも。


おくりびと
話題になった映画です。もはや説明もいらないでしょう。
日本映画の真髄を見た気持です。
久しぶりに日本映画らしくて、かつおもしろい作品でした。
この作品はアメリカ・ハリウッドにはマネできないでしょう。


死を真正面から取り扱い、人が死ぬことは当たり前のことだということを再認識させられました。
日本人というのは、「死」を忌避すべきものとしてきました。
なので、「死」を扱う職業は坊主以外、卑しいものとしてきました。
その最たるが、エタ・ヒニンでしょう。
彼らは死んだ牛馬から皮をとる人もおり、「死」に近い人々でした。
ゆえに、他人から忌避すべき存在とされ、被差別な存在とされました。


作品中でも、納棺師は卑しい職業としても描かれています。
その中でも、主人公は尊厳をもって仕事に臨んでいきます。
そして、ラストシーン。ほかの葬儀屋が死体をぞんざいに扱うのを見た主人公が、自ら納棺することを提案します。
そこに主人公の変化と職業への尊厳が見てうかがえます。


死という問題と職業という問題、両方を考えさせる作品でした。