活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

明日の肖像

結局、日本を救うのは教育しかありません。
これは私は塾産業に身を置いているからではありません。


今の日本、ひいては世界がおかしいのはなぜか。
言われずとも、それは不況のせいです。


では、なぜ不況になったのか。
新自由主義による競争原理が行き詰まったからです。


では、なぜ新自由主義が出てきたのか。
それは、日本やアメリカが「小さい政府」へとシフトしたからです。
それまでの中負担・中福祉が限界に来ていました。要するに、政府財政が破綻したのです。
ゆえに民間にできることは民間に、を合い言葉に政府の事業を民営化していきました。
福祉、教育などの金の食う分野を政府から切り離しました。
そうすることで、財政赤字をなくそうとしたのです。


競争という市場原理は産業を自己発展させる、というのが新自由主義の考え方です。
市場が必然的に良い方向へ導いてくれる、ということです。
だから、国家の重要な事業も市場開放すれば良い方向へ行くし、赤字も解消する、というのが政府の考えでした。


だから、政府は必死に企業や資本家など支援する政策を打ち出してきました。
市場を動かす人達を活性化させれば、社会は必然的に良くなる、と短絡的な発想です。
それが今の二極化、「勝ち組」「負け組」を生み出しました。
現実は、持てるものはさらに持ち、持てないものはより持てなくなっていきました。
しかし、政府に「さほど」変わらないので政府は黙認するわけです。政府は個人の幸福ではなく、政府の運営自身にしか興味がないからです。


さて、ここでなぜ教育がそれを打破する原動力になるのか、について説明したいと思います。
新自由主義を勝ち抜いてきた企業というのは、結局体力勝負で勝ってきた企業です。つまり、資本力の高い企業です。
言い方を変えれば、安売りをすることで他企業を閉め出していった結果、業界トップを維持してきたのです。
それがもっとも簡単で、単純な方法だったからです。


しかし、考えて下さい。
企業が本当の意味で優秀な人「財」を多く抱えていれば、そんなことをする必要はありません。


ディズニーランドは安売りをしていますか?
リッツ・カールトンは投げ売りをしていますか?


答えはNoです。


しかも、それらの企業はリピーター率が高いことで有名です。
すなわち、安売りをしないでも顧客満足度を上げることができ、高い料金でも納得するのです。
これらの企業の特徴はスタッフのクォリティが高いことが挙げられます。


経営陣だけではなく、末端のスタッフまで優秀であれば、現状を打破することができます。


そのために必要なのが、教育です。
小中高大とポテンシャルを高める教育を施すことが、企業を支える人「財」を供給することになります。
高いポテンシャルを持つ人「財」を持つ国に企業は必ず注目します。
この狭い日本に、インターナショナル企業の本部がひしめくことだってありうるのです。


にもかかわらず、現状はどうでしょう。
公教育は衰退し、中高一貫校の高いレベルの私立校が教育を担っています。
いや、そればかりか、公教育が衰退した分、塾がそれを補填しています。


これはどういうことか。
お金のある人間だけがポテンシャルの高い人間になる可能性を持つ、ということです。
金のない人間は満足な教育を受けられず、大学へも行けずに「派遣」という交換可能な人材でしかなくなります。


公教育でポテンシャルの高い人間を育てること。
それこそが未来の日本を救うカギです。
それができないようであれば日本は、世界はダメでしょうね。