活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

ジャンプシステムによるストーリー論


ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』が完結しました。
マドカ編が終わった辺りから予測できていたことですが、意外に早かったですね。


ムヒョとロージーの魔法律相談事務所 18 (ジャンプコミックス)

ムヒョとロージーの魔法律相談事務所 18 (ジャンプコミックス)


案外好きな作品だったんですが、ジャンプの中では仕方のないことです。
この作品自体はジャンプシステムに則っています。努力・友情・勝利のプロセスと強敵出現によるストーリーの展開です。
しかし、この作品は強敵によるストーリー展開ではすぐに行き詰まることは分かっていました。強敵は力ではなく、主人公との因縁も深くなくてはいけません。そうすることで継ぎ接ぎの展開の整合性をとるためです。そうでなければ、ただ「俺より強いヤツに会いに行く」だけになります。


ジャンプシステムをもっともよく表しているのは『ドラゴンボール』でしょう。あの作品はジャンプシステムの2つの原理に強く反映されています。現在、その流れを継承しているのが『ワンピース』です。
ジャンプの人気作品は、まさにジャンプシステムを継承した作品とも言えます。


しかし、『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』は若干趣をこととしています。
なぜならば、この作品は最初の段階で最終ボス(マドカ)を登場させているからです。彼との決戦がラストシーンに設定されているのに、それが終わっても続く場合、よほどの理由が必要です。ですが、マドカ編が終わっても、それを作れなかったためにすぐに打ち切りになったのでしょう。
また、この作品自体、ジャンプらしくない部分が多く、むしろジャンプスクエアなど別媒体にすべき点が多くありました。いまさら言っても仕方ありませんが。


ジャンプシステムは有効であることは疑いありませんが、使える作品に限界があることもまた事実です。ジャンプはジャンプシステムの作品と『銀魂』に見られる不条理ギャグで支えられています。それはそれでいいのですが、ゆえに新しいものが出てこないのでしょう。