活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

映画って素晴らしい

久しぶりに映画を見ました。
とは言っても、DVDですが。


まず、『パンズ・ラビリンス』から。
フランコ政権下のスペインが舞台の物語。体制側の大尉と再婚した母と共にレジスタンス掃討の司令部へ。激動する世界と環境に戸惑う少女。
その現実からの逃避によって生み出されたのか、空想の世界に逃げ込んでいく。どこまでが空想でどこまでが現実かが曖昧でありながら、現実は過酷な方向へと進んでいく。


作品としてはストーリーがしっかりしています。
しかし、現実部分とファンタジー部分のリンクがほとんどなかった。現実は政権側とレジスタンスの抗争、ファンタジーは3つの試練という冒険です。ラストシーンへ向かう展開は非常に面白かったのですが、ラストが「それ?」という、予想はできたのですが、あまりにもつまらない結末でした。


方向性として、現実とつらさとファンタジーのギャップを出したかったのか、単にファンタジーを描きたかったのか分かりません。
後者であれば結末は納得いきますが、前者ならあの終わり方ではないでしょう。


……どちらにせよ、ヴァイオレンス表現が過激で気持ち悪かった……。


次に、『転々』
あの『時効警察』の三木聡が監督した作品です。
随所に、三木ワールドが展開されていて面白かった。『時効警察』でおなじみの面々も出てきて、ふせえり岩松了の掛け合いがまた素晴らしい。ところどころに出てくるキャストがまた、「この人か」という人ばかり。


自首するための散歩という設定はあってないがごとし。
本当は、「家族」がテーマです。親の愛を知らない青年とこどもへの愛を知らない中年。うまい組み合わせです。彼らが作り出す一時のにせものの家族。でも、その「にせもの」に幸せを感じる。
時々オダギリジョーに物語らせる描き方が秀逸でしたね。淡々としているのだけど、心の内を語っている感じがいいです。


ただ、これもラストシーンがあっけなかった。
ある意味、ライトでいいのかもしれないですが、もう少し余韻を残しても良かったかな、と思います。


そして、『ショーシャンクの空に』。
素晴らしい! その一言に尽きます。
罪人達の人間ドラマ、主人公の描き方がヒロイックではなく、しっかりとしたリアリティを持っています。
囚人達それぞれの人生があって、それが垣間見られました。
そこで起こっているリアリティ、それが存在する映画です。


そしてなにより、ラストへ至るどんでん返し。
まさかこういう展開になるとは。
確かに、社会的には救われないけれど、個人の幸福がそこにありました。そこに「自由」を感じました。


全編に渡って存在するのが「諦めない希望」です。
主人公が諦めないからこそ、何かが変わっていく。それがモーガン・フリーマン演じるレッドを変えていく。
現実はすべてが美しいわけではないし、成功するわけでもない。


でも、諦めない限り、そこに希望は存在する。
古き良きアメリカの理想を見た気がしました。


さあ、これから『パイレーツ・オブ・カリビアン2』を見ようっと。