活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

文学賞メッタ斬り!をメッタ斬り……嘘(笑)

文学賞メッタ斬り!』が文庫版になったので、読んでみました。
以前から知っていて、部分的には読んでいたのですが、その時は「辛口評論家の独善論かな」と思っていました。しかし、意外や意外。すべて通して読むと、どれだけ挑戦的な本か分かりました。ハードカバーのときに買っておけば良かった(そう後悔する本は滅多にありません)。


文学賞メッタ斬り! (ちくま文庫)

文学賞メッタ斬り! (ちくま文庫)


この本の凄さは、文学賞の分類(傾向や受賞作・作家)ではなく、選考委員をネタにしているところです。
私自身、かつて某学界の末端に所属していたから分かるのですが、どこの業界(特に狭い業界)でも「大御所」を否定・揶揄することは御法度です。業界から確実に弾かれます。
それをあえて行い、なおかつ内情までバラした『文学賞メッタ斬り!』に感服です。


確かに、作品の選び方や評価自体は大森・豊崎両氏の趣味と偏見に基づいています。しかし、文学賞の性格や歴史については見識深く(当たり前ですが)、役立つこと必至です。


中身そのものに触れてしまうと、ネタバレになる部分があまりにも多く、詳細を言えないのが悔やまれるところです。
ただ、この本で一番共感した点は直木賞芥川賞の評価です。私もあの二賞が文学賞の頂点なんて思いません。ホント、無難か何でこの作品に? という作品ばかりです。


言葉を紡ぐ必要はありません。これは買って下さい。小説好きを自認しているなら、なおのこと!