活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

身体が表現するもの

いやぁ、上杉満代さんは素晴らしい、素晴らしいよ、ムスカ君(笑)。


冗談はさておき。
やはり、上杉さんの身体感覚は素晴らしいです。身体表現が豊かで、体が伸びやかでした。
なによりも表情がすごかった。激しい動きのときは無機質なのに、動きが小さいとき(凝縮されているとき)は少女だったり老婆だったり。すごいエロかった。色気があったのではなく、エロでした。色気、というと上品な感じですが、そうではなく剥き出しの女性の性がそこにありました。それも、少女のものだったり、40代のそれであったり、老女のものだったりと、有為転変していくのです。
あの身体表現は一見の価値があります。


しかし、サングラスを外したり、鏡を持ったりする動きが予定調和的でした。やる義務がある、という感じ。動きに必然性がなかった気がします。まあ、気にするほどのものでもないのかもしれませんが。


前半は非常にぎこちない動きで、まるで人形(ギニョール)のでした。それが徐々になめらかになり、ときに動きが激しくなり、徐々に変化していきます。その中で表情はいくつもの女性の顔をしていくのです。
後半はキャバレーのような雰囲気で、何も知らぬ生娘のように、あるいは男を誘う妖艶な女性のように踊る。
その変化たるや感服です。


身体だけで表現する凄さと難しさを感じました。
ああいう身体感覚(そのままではなく)を演劇の表現に生かせないものでしょうかね。