- 作者: 保阪正康,広瀬順皓
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2008/05
- メディア: 新書
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昭和史と言っても、終戦までの昭和がメインです。
つまりは、戦時中の日本を資料からどのように読み解くか、ということですね。
史料と言っても、その扱いは様々です。
見方によっては陽にも陰にもなります。
特に昭和史で使われる史料は個人の日記や回想録がほとんどなので、その史料の有効性を考えなければなりません。
例えば、これが中世や近世であれば、史料そのものの真偽と成立年代でおおむね史料の内容の精度が決まります。
しかし、昭和史の場合、史料の内容は個人によって気をつけなければなりません。もちろん、それが正しいことを書いているか、と言うこともそうですが、時代が下れば下るほど史料の量が限定されます。
鎌倉時代であれば朝廷側と幕府側の史料からクロスチェックできますが、近代史の場合、意図的に書かない場合があり(あるいは残せない史料)、限られた史料から考察しなければなりません。
その点で近現代史を研究されている方の苦労がよく分かります。
ただ、やはり中世や古代を研究している人と近現代を研究している人では考え方が違うようです。近現代の場合、どちらかと言えば人物評価の面が強い気がします。歴史上の人物がどのような人物で、どういう思想を持ち、どう行動したのか。
そのような違いが見れて、それはそれで面白かったかなと。
ただ、むしろ資料の扱いを間違えると、政争を扱った小説になりかねない部分もあるので、十分な注意が必要でしょう。