活字中毒の溺れる様の記

これは、よくいる活字中毒者が溺れ死ぬまでの記録である……なわけない(笑)

あなたとわたしの……

やはり、恩田陸はすごいと思う一方で、くそぉうとも思ったり。


『Q&A』を読んだのですが、その手法が昔私が考えていた手法と同じでした。
同作品はあるショッピングモールで起こった不可思議な事件を当事者をインタビューするという形で表現しています。直接その事件を描かずに周辺を描くことで中心を浮き立たせる手法です。そして、物語は周辺から核心へと移行していく。その描き方に完敗です。
恩田陸の本質はここにあるのだろうな、とか思ったり。


それはさておき。
私も、人間の国と猫の国がある世界で、猫の国で猫として育てられ、ネコと名付けられた人間の青年の話を考えたことがあります。そのネコが猫の国に侵攻してきた人間達に反抗します。しかし、その戦いは負け、彼は裁判にかけられるわけですが、彼を人間として裁くべきか猫として裁くべきか揉めます。そこで、人間達は戦いに荷担した猫たちに質問し、彼を人間とするか猫とするかを決めようとします。
その質問の様子を描いていくわけです。猫たちはネコのことを人間だ、猫だ、などといいますが、誰もが彼のことが好きで、彼を守ろうとします。
やがて、質問者はネコとは一体どんな人物なのか興味を持ちます。そして、彼自身の話を聞きたいと思うのですが、彼の処刑が決まってしまいます。質問者は彼の最後に立ち会い、そして……。


といった話です。
まあ、あらすじはできているのですが、各エピソードとラストを終わらせるか悩んでいて進んでいないのですが。


このような手法自体は以前からあるので、オリジナルというわけではないのですが、恩田陸のようにあそこまで見事にやられると完敗と同時に自分以上にやるなんてという思いに駆られます。まあ、比べるまでもないのですが。


ですが、今回の作品は小説の手法としては面白いと思います。一切地の文がないのですから。地の文と会話文で対話している手法なので、説明書きが一切ない。これで小説を書けるのは本当にすごいと感心します。
しかし、生半可なアイデアでは本職の作家には勝てないのだと実感しました。